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日本人が習得しにくい言語とは?習得しにくい言語の特徴も解説

日本人が習得しにくい言語とは?習得しにくい言語の特徴も解説

日本語以外の言語を習得すると、就職や転職に有利になったり職業選択の幅が広がるなど、ビジネス面だけでも大きなメリットがあるでしょう。 今後のビジネスパーソンに必要なスキルを聞いたアンケートでは、答えた企業の80%以上が「英語」と回答しています。(英語活用実態調査 2019より)

しかし、言語の勉強には膨大な時間が必要であり、習得を断念する人も多いです。

日本人には習得が難しい言語を選択した場合には、勉強で挫折する可能性はより高くなるでしょう。 日本人が習得しにくい言語は、以下の通りです。

日本人が習得しにくい言語
  • アラビア語
  • フランス語
  • ドイツ語
  • 英語

本記事では、日本人が習得しにくい言語の紹介や、習得しにくい言語の特徴を解説します。 言語の習得で挫折しないためにも、ぜひ参考にしてください。

習得しにくい言語の特徴

言語を習得する難易度は、一概に決めるのは困難です。

言語を学ぶ人の母国語によって、習得の難易度は大きく変わるからです。

日本人の場合には、母国語である日本語と共通点が少ない言語の習得が難しいと言えます。

日本人が習得しにくい言語の特徴は、以下のとおりです。

日本人が習得しにくい言語の特徴
  • 文字が馴染みがない
  • 文法の共通点が少ない
  • 日本語にない発音がある

日本人が習得しにくい言語の特徴をそれぞれ解説するので、言語選びの参考にしてください。

文字が馴染みがない

馴染みのない文字が使われている言語は、勉強の初期段階でのハードルが高いです。

漢字やアルファベットで書かれている言語は、日本人であれば文字から勉強する必要は少ないでしょう。

しかし、馴染みのない文字の場合、最初に文字から覚えなくてはいけません。 日本人に馴染みのない文字には、次のようなものがあります。

文字の名称 タイ文字 ビルマ文字
使用言語 タイ語 ミャンマー語
実際の文字 สวัสดีตอนเช้า မင်္ဂလာနံနက်ခင်းပါ
知らない文字で書かれているだけで、言語を習得するハードルは高くなるでしょう。

文法の共通点が少ない

文法を覚えるのに時間がかかるため、日本語と文法の共通点が少ない言語は、習得する難易度が高いです。

特に語順がSVO型の言語は、日本人が習得しにくい傾向にあります。

文法構造 SVO型 SOV型
概要 主語(Subject)、動詞(Verb)、目的語(Object)の順番で構成された文法構造 主語(Subject)、目的語(Object)、動詞(Verb)の順番で構成された文法構造
当てはまる言語 英語、スペイン語、中国語など 日本語、韓国語、トルコ語など

日本語のようなSOV型の語順は、説明などをした後で、結論を言う構造になっています。

一方、SVO型の語順は、結論を行った後に、説明などを付け足します。

語順が違うと、考える順番も大きく異なるでしょう。

考える順番を変えなくてはならないため、話したりするときの難しさや違和感につながります。

日本語にない発音がある

音の区別や口の動きなど、日本人にない発音がある言語は、習得が難しいです。

日本語にない発音があると、話すだけではなく、聞き取るのも難しいからです。 英語の場合には、子音や母音の数が日本語より多くあります。

日本語の場合には、母音は「あ、い、う、え、お」の5種類しかありません。

しかし、英語の場合には、25種類もの母音があります。

たとえば、日本語の「あ」に相当する発音だけでも、英語では「æ」「ɑ」「ʌ」の3種類あります。

英語のように日本語にない発音がある言語は、話す場合にも聞く場合にも苦労するでしょう。

日本人が習得しにくい言語

上に挙げた言語は、習得するとビジネスやプライベートで活かせる場面が比較的多いですが、習得難易度も高い言語です。

習得難易度が高いため挫折しやすいですが、習得すると他の人との差別化も測りやすい言語とも言えます。

それぞれの言語の特徴や、習得しづらい理由を解説します。

習得を目指すかどうかを考える上での、参考にしてください。 日本人が習得しづらい言語は、以下の通りです。

日本人が習得しづらい言語

アラビア語

話者数 2億人以上
主な使用地域
  • 中東
  • 北アフリカなど
特徴
  • アラビア文字を覚える必要がある
  • 発音はそれほど難しくない
  • アラビア語には、文語のフスハーと、口語のアンミーヤがある
  • アラビア語圏には、天然資源が豊富な地域が多く、経済成長も著しい

日本でアラビア語が話せる人材は、英語などと比較すると少ないです。

しかし、アラビア語を話す中東や北アフリカの地域は石油などの天然資源が豊富で、経済成長も著しい地域です。

現地の企業と働くに当たっても、イスラム語が話せるだけでも大きな武器になります。

アラビア文字を覚える必要がある

アラビア語を習得するには、アラビア文字を覚えるのが不可欠です。

アラビア文字は、「صباح الخير(ザバーハル・ハイール、日本語でおはよう)」といったように、まるで暗号や模様のように感じる人も多いでしょう。

アラビア文字が日本人にとって、習得が難しい理由は、文字の形が4種類に変化するからです。 アラビア文字は28種類と、日本語のひらがなやカタカナと比べても少ないです。

しかし、アラビア文字は繋げて書くため、単語のどの位置にあるかで文字の形が変化します。

同じ文字でも4種類あるため、アラビア文字はアルファベットを覚えるよりも、日本人には難しいです。

発音はそれほど難しくない

アラビア語の発音はそれほど難しくはありません。

母音が5種類である日本語に比べて、アラビア語の母音は3種類と少ないからです。

しかも、アラビア語は文字で表記された通りに発音すれば、ほぼ問題ありません。

英語のように表記と発音が異なることがないので、五十音順に当てはめて読むくせのある日本人にも、アラビア語は受け入れやすいでしょう。

アラビア語にも日本語にない発音の仕方も複数ありますが、他の言語と比較すると、発音が簡単な言語です。

アラビア語には大きく分けて2種類ある

アラビア語の習得が難しい最も大きな理由は、アラビア語は大きく分けて2種類ある点です。

アラビア語には、フスハーとアンミーヤの2種類に分けられます。

フスハー
  • いわゆる、正式なアラビア語
  • ニュースや書籍など、文語として使用
  • 習得するとアラビア語が読めるようになる
  • フスハーを話しても、現地では伝わらないことも多い
アンミーヤ
  • いわゆる、方言
  • 日常生活で話されるなど、口語として使用
  • フスハーを簡単いしたもの
  • 国や地域で違う
  • 習得すると現地の人と話せるようになる

アラビア語を学習する際には、通常フスハーを学習します。

しかし、フスハーで現地の人に話しかけても、伝わらないことが多いです。

現地の人と会話するには、アンミーヤを学ぶ必要があります。

一言にアラビア語と言っても、文語のフスハーと口語のアンミーヤがある点が、アラビア語を習得する難易度を高くしています。

フランス語

話者数 3億人以上
主な使用地域
  • フランスをはじめとするヨーロッパ
  • カメルーンやコートジボワールなどのアフリカの北西部
  • カナダのケベック州
特徴
  • 綴り字記号がある
  • 動詞の活用パターンが多い
  • 日本人には、発音に馴染みがない
  • 世界すべての大陸で使用されている

フランス語の話者数は3億人以上で、世界で五番目に話されている言語です。

また、ヨーロッパはもちろん、世界のすべての大陸で使用されています。

多くの地域の人と話せる言語であるため、習得すれば旅行などのプライベートやビジネスなどで役に立つでしょう。

綴り字記号がある

フランス語の文を見てみると、英語のアルファベットでは目にしない文字をみて、面食らう人も多くいます。

フランス語では、英語では使用されない綴り字記号が使われるからです。

綴り字記号とは「è, à, ù」などといった文字を指します。

綴り字記号は、単語の意味を区別したり、発音を正確にするために用いられます。

フランス語を読んだり書いたりする以外にも、話す際の発音にも重要な文字であり、フランス語を習得するには早い段階で覚えなくてはいけません。

動詞の活用パターンが多い

フランス語の文法を勉強する上で最も難しいのは、動詞の活用パターンが多い点です。

フランス語は直接法だけでも、8つの時制が存在します。

フランス語の直接法の時制
  • 現在
  • 半過去
  • 複合過去
  • 大過去
  • 単純過去
  • 前過去
  • 単純未来
  • 前未来

フランス語では直説法の他にも、接続法や条件法などもあり、活用パターンはさらに多いです。

動詞の変化には規則性があり、慣れれば問題なく覚えられます。

しかし、勉強を始めたばかりの頃は、活用形の多さに混乱しやすいです。

日本人にとって発音に馴染みがない

フランス語は、発音が難しいと言われる言語です。

フランス語が発音が難しいと言われる理由
  • 日本語と比較して母音の数が多い
  • フランス語特有のルールがある

フランス語の母音は16種類で、日本語と比較して多いです。

細かな発音の違いは、日本人にとっては理解が難しい場合が多く、話すにも聞くにも苦労するでしょう。

さらに、フランス語には「リエゾン」「アンシェヌマン」というルールがあります。

リエゾン 通常発音されない語末の子音を、次の単語が母音から始まる際に発音するルール
アンシェヌマン 語末で発音される子音を、次の単語の母音と連結するルール

二つのルールにより、フランス語は単語と文中の発音が異なる場合があります。

リエゾンとアンシェヌマンという特有のルールが、日本人がフランス語を聞いたり話したりするのを難しくしています。

ドイツ語

話者数 1億3,000万人
主な使用地域
  • ドイツをはじめとするヨーロッパ
特徴
  • 名詞に性別がある
  • 動詞の人称変化が多い
  • 複合語が多い
  • 発音は規則的で習得しやすい
  • 主に話されているドイツは、EUで最もGDPがが高い経済大国

ドイツ語は主にヨーロッパのみで使用されて、話者数も1億3,000万人とそれほど多くはありません。

しかし、ドイツは、EUで最もGDPが高い経済大国です。

ドイツはヨーロッパにおいて中心的な国の一つであり、ドイツ語を習得すれば、ヨーロッパでビジネスをする上で大きなメリットになるでしょう。

覚えることが多い

ドイツ語を習得する際に、他の言語と比較して覚えることが多く、苦労する場合が多いです。

名詞に性別がある
  • すべての名詞に、性がある
  • 名詞の性は、男性名詞や中性名詞、女性名詞に分けられる
  • 名詞の性によって冠詞などが変化
動詞の人称変化が多い
  • 私や彼、あなたたちなど、主語の人称に応じて動詞が変化
  • 不規則に変化する動詞も多い
複合語が多く、長い単語が多い
  • 複合語とは、2つ以上の語彙を組み合わせてできた単語
  • たとえば、Krankenhaus(病院 病気 Kranken + 家 Haus)など

ドイツ語は、文法がとても複雑な言語として知られています。

文法が複雑なため、習得する上で覚えることがとても多い言語です。

発音の法則が規則的

ドイツ語の発音は、英語と比較すると規則的で、日本人にも馴染みやすい部分も多いです。

ドイツ語は英語と同じようにアルファベットで表記されています。

英語では「a」だけで、「ア」や「オ」などの異なった発音をしますが、ドイツ語はほぼアルファベットの表記通りに発音されます。

ドイツ語(日本語) 読み
Apfel (リンゴ) アプフェル
Hund (犬) フント
Katze (猫) カッツェ
Haus (家) ハウス
Baum (木) バウム

ドイツ語にも、「ä」や「ö」、「ü」で表記されるウムラウトなど、独特の発音もあります。

しかし、ドイツ語の多くの単語がアルファベット読みで発音できるので、日本人が比較的苦労せずに発音を習得できる言語です。

英語

話者数 15億人以上
主な使用地域 アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど
特徴
  • 世界で最も離されている言語
  • 世界196ヵ国のうち約35%が英語圏
  • 学ぶ機会が多言語よりも多い
  • ビジネスシーンや旅行で役立つ

英語は世界で最も話者数の多い言語であり、アメリカ、イギリスなどを含め58ヵ国以上で使用されています。

修得しやすいとされる韓国語やスペイン語などよりも使用頻度が高く、授業で学ぶ機会の多い言語でもあります。

近年ではグローバル化の進展に伴い、国際共通語である英語力の向上に重きが置かれており、文部科学省では英語教育の改善が推進されています。

英語話者はビジネスシーンにおいても優位に立てるケースが多く、一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が企業に実施した英語活用実態調査では、今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキルとして「英語」が挙げられました

出典元:一般社団法人国際ビジネスコミュニケーション協会

しかし、英語は文法構造の違いや発音の違いから日本人の習得が難しいとされる言語です。

独学での学習が不安な方はぜひ、英会話教室などを活用しサポートを受けながら修得することをおすすめします。

 語彙が多く発音が難しい

英語は世界的に見ても習得しやすい言語です。

しかし、日本では英語学習における挫折者も多く難しいと考える方も多く存在しています。 難しいとされる理由としては、語彙の多さが挙げられます。

英語には約100万語以上の単語があると推測されており、ハーバード大学とGoogleが2010年におこなった調査では英単語は102万2,000語にも上ると発表されました。

また、毎年数千語ずつ増加しているとも考えられているため、常に新しい単語の習得が必要となる可能性も考えられます。

しかし、一般的にネイティブスピーカーが使用する語彙数は約20,000~35,000語ほどとされています。 単語数は人により異なりますが、約20,000以上は習得が必要です。

また、英語の習得が難しいと考えられる理由として、表記通りの発音ではない点も挙げられます。

英語は同じアルファベットであるのに発音が複数存在するため、習得が難しいと感じる可能性も考えられます。

「s」の例
  • 無声音に続く語末の場合: /s/
  • -esの形で付与する場合:/iz/
  • 有声音に続く場合: /z/

/s/はgiraffesやbooksなどの無声音の場合の発音であり、/iz/はbuses、quizzesなどの語末が「-es」になる場合の発音です。

/z/はtreesやdogsなど語末が有声音になる場合の発音であり、/z/と発音されるパターンは多々あります。

英語は1つのアルファベットの発音が異なるケースが多いため、難しいと認識されることあります。

文法構造が違う

日本は動詞が先に来る「SVO(主語・動詞・目的語)型」ですが、英語は動詞が最後に来る「SOV(主語・目的語・動詞)型」の文法構造をしています。

文法構造の違い例
(私は)朝食を食べる。:主語+目的語+動詞
I eat breakfast.

上記の通り、英語と日本語は構造が異なるため訳す際に順番を理解できず挫折してしまう可能性が考えられます

また、日本語は単語の順序が変わっても理解できる傾向にありますが、英語には日本語ほどの自由度がありません。

順序が異なることで伝えたい内容を伝えられないため、日本語の語順の自由度に慣れている方はハードルが高いと感じる恐れがあります。

英語習得には英語を日本語に訳さず理解できる「英語脳」を養うことが重要とされているため、英語習得を目指す方はまず「英語脳」を養いましょう。

独学での習得が難しい場合は、英会話教室やオンライン英会話などの利用もおすすめです。

話すスピードが速い

英語は1分間に話す単語数が日本語の1.5倍とされており、日本語よりも話すスピードが速い傾向にあります。

発話スピードが速い理由として、「音素」と呼ばれるこれ以上分解できない音の最小単位が関係しています。

英語には母音と子音合わせて44の音素が存在しており、音素を理解することで単語と音を結び付けて読み易くなり、発音の面で躓いてしまうリスクを抑えることができます。

音素数が多い英語は日本語よりも多く話す必要があるため、発話スピードが速くなります。

英語習得の際にリスニングやスピーキングで躓いてしまう方は、ぜひ音素を意識してリスニングや発話をおこなうことをおすすめします。

日本人に習得しにくい言語か理解した上で習得する言語を選ぼう!

習得する言語を選ぶ上で、習得しやすいかどうかは大切な要素になります。

習得する難易度が高ければ、途中で挫折する可能性が高くなります。

一方、難易度が高い言語は話せる日本人が少ない可能性が高く、習得すればビジネス面で優位に働くでしょう。 日本人に習得しづらい言語は以下のとおりです。

日本人が習得しづらい言語

上に挙げた言語は、習得が難しいが、ビジネスなどで活かせる可能性が高い言語です。

言語を習得すれば、ビジネス面だけでなく、プライベートでのメリットも大きいです。

「どの言語を選べばよいか分からない」という方は、本記事を参考にして、言語を習得するための勉強をスタートしましょう。

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