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日本人が習得しやすい言語とは?習得しやすい言語の特徴も解説

日本人が習得しやすい言語とは?習得しやすい言語の特徴も解説

言語を習得すると聞くと、英語を想像する人も多いはずです。

しかし、英語は発音が難しかったり文法が日本語と異なるため、習得が簡単な言語ではありません。

実際に、英検1級やTOEIC945点以上の英語力を独学で身につけるためには、勉強時間が5025時間必要だと言われています。(日本の英語学習時間について:これまでの学習時間とこれから求められる学習時間より

仕事でのキャリアアップなどのために、言語を習得したいと考えるのであれば、日本人に習得しやすい言語を選ぶのもおすすめです。

日本人が習得しやすいおすすめの言語は次のとおりです。

日本人に習得しやすいおすすめの言語
  • 韓国語
  • スペイン語
  • インドネシア語

本記事では、日本人が習得しやすい言語の紹介や、特徴の解説をします。

言語を習得し、キャリアアップするための参考にしてください。

日本人が習得しやすい言語の特徴とは?

習得しやすい言語がどれかは、一概にはランク付けできません。

学習する人の母国語によって、言語を習得する難易度は変わるためです。

日本人の場合には、母国語である日本語と似ている言語が習得しやすいと言えます。

日本人が習得しやすい言語の特徴は、以下のとおりです。

日本が習得しやすい言語の特徴をそれぞれ解説するので、習得する言語選びの参考にしてください。

発音が似ている

日本語と発音が似ている言語は、日本人にとって話しやすく聞きやすい言語と言えるでしょう。

日本人には、文字を五十音に当てはめて読むクセがあります。

五十音に当てはめて読んだ際に、比較的スムーズに発音できる言語が、日本人に習得しやすい言語と言えるでしょう。

日本人にとって、五十音順に当てはめて読むことが難しい言語としては、英語が挙げられます。

英語の場合には「a」という文字でも、単語によって発音が異なるからです。

英語における「a」の読み方の違い
  • cat(キャット)
  • ball(ボール)
  • name(ネイム)

英語のように、同じ表記でも発音が異なる言語は、日本人には馴染みにくく取得が難しいです。

文法構造が似ている

日本語と同じSOV型の言語は、比較的簡単に習得できます。

文法構造は、動詞の位置によって大きく2つに分けられます。

文法構造 SVO型 SOV型
概要 主語(Subject)、動詞(Verb)、目的語(Object)の順番で構成された文法構造 主語(Subject)、目的語(Object)、動詞(Verb)の順番で構成された文法構造
当てはまる言語 英語、スペイン語、中国語など 日本語、韓国語、トルコ語など

英語のようにSVO型の言語と比較して、日本語と同じSOV型の言語の方が、日本人には理解しやすいです。

そのほかにも、助詞を使用する言語や主語が省略できる言語は、日本人に習得しやすい言語と言えます。

似ている語彙の言葉が多い

日本語と他の語学で似ている単語が多いほど、語彙を覚えるのは簡単になります。

コミュニケーションをとるにしても、読み書きするにしても、ある程度語彙力がないと困難です。

語彙を覚えるのが簡単であれば、コミュニケーションや文章の読み書きも容易になるでしょう。

英語と日本語では、似ている語彙の言葉が多くあります。

日本語 バス レストラン コーヒー ホテル テレビ
英語(読み) bus(バス) restaurant(レストラント) coffee(コーフィー) hotel(ホウテル) television(テレヴィジョン)

似ている単語が多いほど、単語を覚えるのに既知の記憶が利用できるので、語彙の習得が容易になります。

おすすめの日本人が習得しやすい言語は?

おすすめの日本人に取得しやすい言語は、以下のとおりです。

日本人が習得しやすいおすすめ言語

上に挙げた言語は日本人にとって習得しやすいのに加えて、習得するとビジネスや趣味などの様々な分野で活用できる言語です。

それぞれの言語が覚えやすい理由や、おすすめのポイントを解説します。

韓国語

話者数 7,000万人以上
主な使用地域 大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国など
特徴
  • 日本語と同じSOV型、文法上の共通点も多い
  • 似ている語彙の言葉が多い
  • ハングル文字を覚える必要がある
  • 韓国独特の発音の習得難易度が高い
  • 韓流ドラマやKPOPが字幕なしで楽しめる

韓国語は趣味に活かしやすい言語です。

たとえば、韓流ドラマやK-POPが好きな人には、韓国語を習得するメリットはとても大きいです。

韓国語を習得すると、字幕なしで韓流ドラマやK-POPが楽しめます。

字幕なしで韓流ドラマやK-POPが楽しめれば、作品や歌の世界により深く入り込めるでしょう。

また、好きなアーティストのSNSの投稿を、理解できるようになるのも魅力的です。

文法上の共通点が多い

日本語と文法上の共通点が多いため、韓国語は文法の理解が容易な言語です。

日本語と韓国語の文法場の共通点
  • 文法構造がSOV型
  • 助詞を使用する
  • 否定文や疑問文などの形
  • 尊敬語がある
  • 主語が省略できる

日本語と韓国語では、文法構造がSOV型である点以外にも、多くの共通点が存在します。

英語などの他の言語と比較して、文法の習得にかかる時間は圧倒的に少なくすむでしょう。

文法上の共通点が多いので、日本語の文の単語を韓国語に入れ替えるだけで、ある程度意味が通じます。

似ている意味の語彙が多い

日本語と韓国語では、似た語彙の単語が多くあります。

日本語と韓国語は同じ中国語をルーツとしているのに加え、幕末に日本語が韓国に伝わったからです。

日本語(読み) 韓国語(読み)
学校(がっこう) 학교(ハッキョ)
文化(ぶんか) 문화(ムンファ)
医者(いしゃ) 의사(ウィサ)
約束(ヤクソク) 약속(ヤクソク)
新聞(シンブン) 신문(シンムン)
問題(モンダイ) 문제(ムンジェ)
電話(デンワ) 전화(チョヌァ)
感謝(カンシャ) 감사(カムサ)
生活(セイカツ) 생활(センファル)

韓国語には日本語と少し発音が違うが、似ている語彙の言葉が多くあり、語彙を覚える負担が少なくすみます。

ハングル文字を覚える必要がある

韓国語を習得するには、必ずハングル文字を覚える必要があります。

ハングル文字は日本人に馴染みがないため、韓国語は難しいと感じている人は多いです。

しかし、ハングル文字を覚えるのは、難しくはありません。

ハングル文字は10種類の母音(合成母音を合わせれば21種類)と、19種類の子音の組み合わせで成り立っているためです。

たとえば、「나 (ナ)」は「ㄴ(n)」と、「ㅏ(a)」の組み合わせで成り立っています。

母音と子音から覚えることで、ハングル文字はスムーズに覚えられるでしょう。

また、ハングル文字には、日本語の五十音表に当たる反切表もあります。

どうしてもハングル文字を覚えるのが苦手な人は、反切表を利用するのがおすすめです。

韓国語独特の発音を覚えるのが大変

韓国語を習得する上で、一番苦労するのが発音の習得です。

韓国語の発音が難しい理由は、日本語にない発音が多くあるからです。

たとえば、韓国語では「ん」の発音だけでも、舌や唇の使い方が違う3種類の発音があります。

発音の難しさから、「韓国語を話しても伝わらない」「なかなか韓国語が聞き取れない」といった理由で、韓国語の習得を諦める人も多くいます。

韓国語を多く聞いたり、発音が完璧でなくても良いので積極的に話すなどして、発音を少しずつ習得していきましょう。

スペイン語

話者数 4億人以上
主な使用地域 スペイン、メキシコ、ブラジル以外の南米など
特徴
  • 発音しやすい
  • 文法が複雑
  • 話者数や、公用語や日常語である地域が多い

スペイン語は話者数が多く、使われている地域も多いので、習得するとビジネスに活かしやすい言語のひとつです。

加えて、日本人でスペイン語を習得している人は、英語と比べると比較的少ないです。

日本において話せる人の割合が少ないため、スペイン語を習得すれば、ビジネスにおいて非常に有利に働きます。

日本人にとって発音しやすい

日本人にとってスペイン語が習得しやすい一番の理由は、発音が簡単な点が挙げられます。

スペイン語は、アルファベットで表記されており、母音が日本語と同様に「a、e、i、o、u」の5つで構成されています。

スペイン語の単語と発音
  • ありがとう:Gracias(グラシアス)
  • さようなら:Adiós(アディオス)
  • 家族:Familia(ファミリア)
  • 学校:Escuela(エスクエラ)
  • 本:Libro(リブロ)

母音の構成が日本語と同じなため、アルファベットの表記通りに読めば通じることが多く、発音で苦労することが少ないです。

文法が複雑

スペイン語を習得する上で、最も苦労する点として、文法が挙げられます。

スペイン語の動詞の活用は、英語よりも多く、複雑だからです。

スペイン語では、主語や時制に応じて動詞の語尾が変化します。

あなた 彼/彼女 私たち(男/女) あなたたち(男/女) 彼ら/彼女ら
食べる(現在型) Yo como Tú comes Él/Ella come Nosotros/Nosotras comemos Vosotros/Vosotras coméis Ellos/Ellas comen
食べた(過去形) Yo comí Tú comiste Él/Ella comió Nosotros/Nosotras comimos Vosotros/Vosotras comisteis Ellos/Ellas comieron
食べるつもり(未来型) Yo comeré Tú comerás Él/Ella comerá Nosotros/Nosotras comeremos Vosotros/Vosotras comeréis Ellos/Ellas comerán

スペイン語の動詞の活用は、種類も多く複雑です。

動詞の活用をマスターできるかが、スペイン語習得の鍵になります。

性別によって名詞の使い分ける必要がある

性別によって名詞を使い分けるのも、スペイン語の特徴です。

男性名詞 女性名詞
El amigo (男友達) La amiga (女友達)
El profesor (男性教師) La profesora (女性教師)
El cliente (男性客) La clienta (女性客)
El perro (オス犬) La perra (メス犬)
el gato(オス猫) la gata(メス猫)

性別による名詞の変化は、日本語はもちろん、英語にもありません。

日本人にとって馴染みのないルールのため、勉強する際に難しいと感じる人も多いでしょう。

インドネシア語

話者数 1億4,000万人以上
主な地域 インドネシア
特徴
  • 文法、発音のどちらも習得が簡単
  • 語彙数も少ない
  • ビジネスに活かせる可能性を秘めている

インドネシア語は習得難易度が低く、ビジネスにも活かせる可能性を秘めた言語です。

インドネシア語がビジネスに活かしやすい理由
  • 日本人で習得している人が少ない
  • 人口が世界第4位(2億7,870万人)
  • 経済成長率が毎年5%以上
  • 進出している日系企業は2,000社以上
  • 15歳未満の若い世代が圧倒的に多く、今後も成長を見込める
    (日本貿易振興機構 インドネシア概況基本統計、インドネシアの人口ピラミッドより)

話せる日本人が少なく、ビジネスに活かせるチャンスも多いので、インドネシア語を習得するメリットは大きいです。

インドネシア語は世界一簡単な言語

インドネシア語は、世界一簡単な言語と言われ、日本人にも習得しやすい言語です。

インドネシア語が世界一簡単な言語と言われる理由
  • 文字はアルファベット
  • 文法はSVO型だが、動詞の時制の変化がない
  • ローマ字読みで読め、発音が楽
  • 外来語が多く、知っている単語が多い
  • 約3,000語と覚えなくてはならない語彙が少ない(日本語は約5万語)

インドネシア語は最近できた言語で、覚えやすいように考えられて作られています。

インドネシアが独立する際に、国家を統一する目的で、言語も多民族が覚えやすいように作られたからです。

インドネシア語は文法や発音、語彙の全てにおいて、日本人にとって習得しやすい言語と言えます。

将来的に需要が高まる言語とは?

グローバル化に伴い、日本では文部科学省の推進のもと英語教育の強化が進められています。

2020年に文部科学省が発表した小・中・高等学校を通じた英語教育の目標では、学校教育を通し言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図るとともに聞く、話す、読む、書くの4技能の養成を目指しています。
(※文部科学省 【資料2-1】小・中・高等学校を通じた英語教育の目標等の方向性(検討のための資料)より引用)

英語は世界中で学ばれていますが、英語以外にも将来的に需要が高まる言語が存在します。

人口拡大に伴い国際社会で活躍している中国や、今後急成長が予想されるアフリカ大陸に多く話者がいるフランス語などは将来的に需要が高まる言語と言えます。

また、習得しやすい言語として挙げられたスペイン語も同様に将来的に需要の高まる言語とされています。

以降では、将来的に需要が高まると予想される言語を解説します。

将来的に需要が高まるおすすめ言語

中国語

中国語は世界13億人の話者数を持つ言語であり、話者数は英語に次ぐ世界2位です。

国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計値であるGDPは世界2位を誇り、2023年の成長率は5.2%増と国際社会に大きな影響を与えています。
(※外務省 中国経済・日中経済 概要(令和6年6月)より引用)

外務省でも中国は日本にとって最大の貿易相手国であると紹介しており、将来的に英語同様需要が高まると想定されています。

ビジネスパーソンの多くは今後、世界的にビジネス面で需要が高まる言語として「中国語」を挙げる方が多く中国語の習得はマストになる可能性もあります。

現在のペースで成長を続けた場合、影響力はさらに増し中国マーケットの注目はさらに高まることが推測されます。

なお、中国語は英語と異なりまだ国際言語とはなっていません。

また、中国は面積が広く人口数も多いため北京語や広東語など地域により言語に違いがあり、学ぶ際には注意が必要となります。

北京語の話者数は約9億3,300万人とされる一方、広東語は約6300万人ほどの話者数とされているため、学ぶ際は北京語の習得をおすすめします。

旅行などで中国語を学びたい方や香港、マカオ、広州などに住みたいと考えている方は広東語の習得もおすすめです。

フランス語

フランス語は2017年時点で世界第5位の話者数を誇る言語です。

話者数は4億3,100万人であり、フランス国内だけでなくアフリカ大陸やカナダなど世界中で使用されています。

フランス語話者の多いアフリカ大陸は2025年現在、経済成長率がアジア地域に次ぐ2番目となっており、2024年度のフリカの成長率は世界平均を上回るとアフリカ開発銀行(AfDB)グループが発表しました。
(※アフリカ開発銀行(AfDB)グループ 「アフリカ大陸の最新マクロ経済実績と見通し」より引用)

フランス語を使用するニジェールやセネガル、ルワンダも同様に急成長を遂げています。

また、アフリカ大陸は人口も増加傾向にあるため、今後フランス語話者が増加する可能性も想定されます。

経済的成長と人口増加などの観点から、フランス語の需要の高まりは想定されます。

アラビア語

アラビア語は世界で最も習得が難しい言語とされている一方、話者数は2億7,400万人と非常に多い言語です。

修得が難しいとされているアラビア語は近年注目度が高まっています。

修得しやすい言語として挙げられたインドネシアなどの南アジアにも影響力が強い言語となっており、話者数も年々増加傾向にあります。

アラビア語の需要が高まっている理由として、イスラム教徒の人口数増加やビジネスチャンスの拡大などが挙げられます。

エネルギーや建築などの事業開発においてアラビア語は大きな役割を果たすうえ、アラビア語は英語や中国語よりも日本での話者数が少ない傾向にあります。

アラビア語を習得することで、転職や就職に役立つほか中近東諸国へのビジネス展開時に大きなアドバンテージとなることも想定されます。

国外でもアラビア語の需要は高まっており、イギリスのブリティッシュ・カウンシルではイギリスで「将来、重要となる外国語TOP10」としてアラビア語を第2位に選んでいます。

また、アメリカでもアラビア語話者を重宝している傾向にあるため、日本でも同様に需要が高まる可能性があります。

英語や中国語よりも競争人口が少ないため、今から習得することでよりビジネスシーンに役立つでしょう。

日本人が習得しやすい言語を選んで勉強を始めよう!

言語を習得すると、仕事でのキャリアアップの鍵になるだけでなく、プライベートにも良い影響を与えます。

日本人が習得しやすくおすすめの言語は以下の通りです。

日本人が習得しやすいおすすめの言語
  • 韓国語
  • スペイン語
  • インドネシア語

「どの言語を学ぶか迷っている」「英語の習得に挫折した経験がある」という方は、本記事を参考にして、言語を習得するための勉強を始めましょう。

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